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【気軽に学べる】家庭医療の本 おすすめ5選

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家庭医療について「少しだけ詳しく知りたい」と思ってくれた方に、まずは手軽に手に取ってほしい家庭医療に関するよみもの 厳選5冊を紹介します。

その魅力、その大切さを噛みしめられる素敵な家庭医療の本たちです。

 

 こちらの記事がオススメの方

  • 最近、家庭医療やプライマリ・ケアに興味が高まった方
  • 家庭医と一緒に働かれている方
  • 家庭医療を周りの人たちへ気軽に知って欲しいと感じている方

 

 

「家庭医療について、少しだけ詳しく知りたい」という声

 

家庭医の現場に来た実習生たちが「もっと家庭医療について知りたい」と言ってくれることがあります。

また、他の職種の方からも連携や勉強会を通じて「家庭医療やプライマリ・ケアについて学ぶと役立ちそう」という声も聞きます。

 

その相談に嬉しさを覚える反面、モヤモヤを抱えていました。

 

ネット上の情報では事例などの具体性が少なく、一方で、いきなり1冊数千円(下手すると1万円近い)する医学書を紹介するのは、色んな意味で重たすぎます・・・。

 

「少しだけ詳しく知りたい」というニーズに合う資料とはどんなものだろうと考え込んでしまいました。



一般向けの読みものから学ぶ家庭医、家庭医療

 

そこで、「少しだけ詳しく知りたい」というニーズに合う、まず手軽に手に取ってほしい家庭医療に関する読みものを探してみました。

  • 2,000円以下
  • 一般向けの読みもの
  • 家庭医療専門医が執筆する、または、執筆に関わっている

という条件で厳選した5冊をご紹介します。

 

知りたい内容と読み応えで下の図のように並べてみました。

家庭医療よみものマトリックス

知りたい内容:「家庭医のシゴト」についてか、「家庭医療のしくみ」についてか

読み応え:「ずっしり」か「さっくり」か

 

では、読み応えが「さっくり」なものから順に紹介していきます。



家庭医の現場 診療・連携・教育の事例から

家庭医の現場 診療・連携・教育の事例から 舟見恭子 (エイチエス株式会社)

日本各地の等身大の家庭医を知れる一冊です。

診療所、市中病院、大学など様々な現場の家庭医たちのインタビューから、家庭医療の専門性や家庭医の魅力が紡ぎ出されています。

 

家庭医療は現場を体験しなければその本質は分からない。多くの家庭医が医学生や研修医に「現場を見に来てほしい」と言うのはそのためだ。本書は、無数にあるバリエーションのいくつかを紹介しているに過ぎないが。そこには間違いなくk低医療の本質に通じるものがあるはずだ。医学生や研修医だけでなく医療分野以外の人も、興味を持ったらぜひとも現場を見て体験してほしい。

    ~家庭医の現場 診療・連携・教育の事例から 「はじめに」より~

 

おすすめのパート

  • 治療ではないケア (p.39~)
  • 乳児から高齢者まで家族ぐるみでかかりつけ (p.46~)
  • ヘルス・プロモーティング・ホスピタル (p.88~)
  • まちづくりを始めた家庭医 (p.126~)

 

 



対話する医療 人間全体を診て癒すために

対話する医療 人間全体を診て癒すために 孫大輔 (さくら舎)

様々な社会活動に取り組まれる家庭医 孫大輔先生が、ケアにおける「対話」の可能性について書かれた本です。

全人的で地域に根差したケアを目指す家庭医の特徴を「対話」や「つながり」というキーワードで解説されています。

 

前進をバランスよく診るためには、生物医学的治療とは別のアプローチが必要ではないだろうか 

 ~

患者の言葉に真摯に耳を傾け、双方向の「対話」を大事にしながら、「人間全体」を診るような医療はないだろうか……。そうして、当時の私が行き着いた1つの答えが「家庭医療」でした。

   ~対話する医療 人間全体を診て癒すために 「はじめに」より~

 

おすすめパート

  • 家庭医の「対話力」- 患者中心の医療の方法 (p.31~)
  • 医療コミュニケーションが抱える問題 (p.62~)
  • これからの時代に求められる医師とは (p.184~)

 

 



家庭医という選択 19番目の専門医

家庭医という選択 19番目の専門医 舟見恭子 (エイチエス株式会社)

家庭医療の先駆者たちの情熱が詰まった一冊です。

先ほど紹介した「家庭医の現場」と同じ著者が書かれた一冊目の家庭医療の本です。

日本の家庭医療を切り拓いた医師たち、家庭医療の第一線で活躍している医師たちへのインタビューをもとに書かれています。

日本の家庭医療の歴史と共に、家庭医の魅力や やりがいを噛みしめることができます。

 

家庭医に興味を持ち自分も目指してみようかと思い始めている医学生や医師に、こんな素晴らしいお手本があることを伝えられればと思う。

そして一般の読者の方には、私たちにとって家庭医がいかに心強く頼りがいのある存在であるかを感じ取っていただければ幸いだ。

    ~家庭医という選択 19番目の専門医 「はじめに」より~

 

おすすめパート

  • なぜ今、家庭医なのか (p.16~)
  • 医療システムを構築するアーキテクト (p.64~)
  • 家庭医だからこそできること (p.92~)
  • 家庭医の育成は「人」の育成 (p.180~)

 

 





医師は患者をこう診ている 10分間の診察で医師が考えていること

医師は患者をこう診ている 10分間の診察で医師が考えていること グレアム・イーストン (河出書房新社)

家庭医の診療中のアタマとココロを追体験できる一冊です。

英国の家庭医 イーストン医師が、外来診療で患者と向き合うとき何を考えどのように振舞っているかを事細かに描いた一人称ドラマです。

 

本書は、イギリスの家庭医療・総合診療の現場をありのままに紹介する初めての作品だ。読者のみなさんには、よくある朝の診察室の風景をご覧いただくことになる。

 ~

朝食と昼食のあいだのというわずかな時間に、GPが取り組まなければならない多様な問題がお分かりいただけるだろう。

    ~医師は患者をこう診ている 10分間の診察で医師が考えていること 「日本の読者のみなさまに」~

 

おすすめパート

  • はじめに - 午前の診察の前に
  • 8時10分 ミスター・N・A(心血管疾患の予防、足底腱膜炎)
  • 10時6分 ミスター・D・G(前立腺検査)
  • 10時20分 T・Bくん(上気道炎)

 

 



医療大転換 日本のプライマリ・ケア革命

医療大転換 日本のプライマリ・ケア革命 葛西龍樹 (筑摩書房)

「プライマリ・ケアから医療が変わる!」

総合診療専門医の誕生を控えた2013年に、福島県立医科大学 地域・家庭医療学講座 教授 葛西 龍樹先生からの提言です。

日本の医療課題やプライマリ・ケア先進国先進国から家庭医の可能性に迫る内容です。

総合診療専門医研修が開始して4年、そして、コロナ禍の今だからこそ本書からプライマリ・ケアの価値を再発見できるはずです。

 

私たちは現行の医療制度への批判を踏まえ、そこから先に議論を進めなくてはならないのだ。自分たちと家族の命と健康を守るために、具体的にどうすればいいだろうか。その答えの一つが、「プライマリ・ケア」である。

    ~医療大転換 日本のプライマリ・ケア革命 「はじめに」より~

 

おすすめパート

  • 「あなた」を専門にする医師 (p.64~)
  • プライマリ・ケアを整備するメリット (p.89~)
  • 震災に対応できなかった従来の医療 (p.149~)
  • 今後の課題 (p.192~)

 

 

 

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家庭医療について気軽に学べるよみもの5選を紹介しました。

また素敵な本を見つけましたら、紹介してゆきたいと思います。

 

ではまた、プラっとお立ち寄りください。