「『患者中心の医療』ってなんだか良さそう!だけど、それって何なの?」という方へ、医療の経験・知識ゼロでも理解してもらえるよう私なりに解説してみます!
患者中心って?
多くの方が「いい医療」を受けたいと思っているはずです。
- 最先端の治療がいい
- 体にも家計にも負担の少ない医療がいい
- 親身で思いやりのある医療がいい
「いい医療」は人それぞれです。
あなたの価値観やあなたの人生にフィットする医療
「あなた専門の医療」
それが「患者中心の医療」です。
どうしたら患者中心になるのか?
何でもあなたの好き放題だったら、それは「いい医療」でしょうか。
医学の知識なしに検査や治療を好き放題選ぶのは、むしろ無謀ですね・・・。
では、どうしたら患者中心になるのか?
どうしたらあなたにとって丁度いい医療になるのか?
患者中心になるために、4つの要素が挙げられています。*1
- 患者を人間として理解する
- 生物心理社会的視点で捉える
- 共通基盤を発見する
- 治療的関係性
頭の中にたくさん「?」が浮かんだことと思います。
「患者中心」と言っておきながら、この4つの要素をそのまま見ても、あまり患者さんにはピンと来ません。
患者さんどころか、医療・ケアに関わる人でも「なるほどわかった!」と言える人は多くはないでしょう。
だからこそのこの記事です。
「そもそも、医療って何?病気って?患者って・・・??」と、「患者中心」以前の疑問も多く湧いてくるかもしれません。
医療の知識もなければ、闘病の経験などもない。そんな方でもイメージが掴めるように、「医療」や「患者」という言葉抜きに「患者中心の医療」を私なりに解説してみたいと思います。
医療の経験・知識ゼロから学ぶ「患者中心」
上に書いたように、「医療」や「患者」という言葉は使いません。
なので、そもそも医療の話ではありません。
舞台は、病院ではなく美容院です・・・!
美容院なので、登場人物は美容師とお客さんです。
医療と美容は次の共通点があります。
- 一般の人が専門職に身をゆだねる
- 体に変化をおよぼす
- 受け手の価値観が大事
医療の話をせずとも、美容院でのやりとりから「患者中心の医療」をイメージできそうだ!というのがこの記事の試みです。
そんなわけで、
「患者中心の医療」から一歩下がって、「お客さん思いなヘアカット」について考えてみましょう。
とあるお客さんが「サッパリとお願いします。」とヘアカットを注文しました。
どうしたらこの人が納得いく「サッパリ」にしてあげられるでしょう?
この人の言う「サッパリ」がどのような意味なのか、どうしてそうしたいと思ったのか、聞いてみたいですよね。
①「あなたの言うサッパリってどんな感じですか?」
まずは「サッパリとお願いします。」という注文をもう少し詳しく聞かせてもらいます。
なぜサッパリしたいと思ったのか
どうしたらサッパリできると思っているか などなど
この人なりの考えがわかってくると、好みやニーズが見えてきますね。
②「ふだんは何をされてますか?どんな格好してますか?」
髪型が似合うかどうかは、職業や趣味、普段の服装にも影響されますね。
そもそもこの人はどんな人なのかは知っておきたいところです。
どんなライフスタイルなのでしょう。
職業柄で髪型に制限があるかもしれません。
ファッションへのこだわりはあるでしょうか。
ここまで聞けると、髪型の方向性も決まってくるのではないでしょうか?
③「具体的なイメージがあれば教えてください。」
何より、仕上がりのイメージを写真や具体例で教えてもらえると話が早いですね。
とはいえ、「全てお客さんのイメージ通り」とはいきません。
顔とのバランスや髪質によって、髪型の向き不向きもあります。
そこは、美容師からの意見も合わせつつ、仕上がりのイメージを決めてゆくことになりますね。
晴れ舞台を控えている
流行に乗りたい など
目的があれば、それも参考にしたいですね
④ お客さんとの関係性も大事
これまでの話が上手く進むかどうかは、お客さんと美容師の関係性にもよります。
常連さんの場合「いつも通りに」の一言で済んでしまいます。
逆に、新しいお客さんならば、うまく歩みよりながら上の①~③を丁寧に聴く必要があります。
これまでの①~④を適度なバランスで行っていくと、「お客さん思いなヘアカット」になってゆくと思いませんか?
① この人が真に求めていることは??
② そもそもこの人、どんな人??
③ 仕上がり・目的をちゃんと共有
④ 良い関係でお付き合い
状況に応じて、この4つの比重を変えて関わってゆく。
そこが腕の見せドコロでもあります。
さて、最初にお見せした「患者中心の4つの要素」を「お客さん思いなヘアカット」と重ね合わせてみます。
4つの要素のイメージが少し湧いてきたでしょうか。
では、これらが実際医療の現場でどう活かされているのか。
どんな風に実践するのか。
その名の通り「患者中心の医療の方法」としてまとめられた方法論があります。
ぱっと使いこなせるものではありませんが、修得し甲斐のある技法です。
★「患者中心の医療の方法」について知ってみたいと思った方は、続けてこちらの記事も覗いてみてください。
アニメでわかる患者中心の医療の方法
患者中心の医療の方法は、こちらの原著が大元です。
分厚く読みごたえたっぷりです!
ではまた、プラっとお立ち寄りください。
*1:Measuring patients' perceptions of patient-centered care: a systematic review of tools for family medicine