プラっと プライマリ・ケアが ちょっと詳しく、ぱっと身につく、きっとワクワク

プライマリ・ケアについて図解やイラストでやさしく発信していきたいと思います

プラっと #1. ケアの不確実性

● プラっと 〜プライマリ・ケアがちょっと詳しく →ぱっと身につく →きっとワクワク 〜 

ケアに関わる人も、そうでない人にも気楽に学べてちょっと役立つ内容をお送りします。日本プライマリ・ケア連合学会学会 基本研修ハンドブックの「家庭医療専門領域」32テーマから 1テーマを紙1枚に超訳 して、ちょっとずつ学んでゆく。そんな連載記事です。

「主旨を もう少し知りたい」、 「そもそもプライマリ・ケアって なに?」 という方は こちら記事からどうぞ

→ プライマリ・ケアの気楽な学び、はじめました。 

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今回は「プライマリ・ケア  1テーマ1枚」の記念すべき第1回です。。最初のテーマは

#1. ケアの不確実性


ハンドブック*1で参考にしたところは、

p.40~49「未分化で多様かつ複雑な健康問題への対応」

です。


不確実性とは、

物事について、その先が予測がつかないことや、ぱっと解決方法が見つからないことです。


そんな見通しの立たない状況は不安で、先に進むのも躊躇いますよね。


命や健康に関わる医療は、原則として、診断のついた病気・病状に対して十分効果のある治療を行っていきます。

常にはっきり診断でき、確かな治療ができればいいのですが・・・

実は、診断がはっきりしないこと、確かな治療や解決策が見つからない状況というのが、医療の日常茶飯事です。

 

医療やケアはそんな不確かさと日々向き合っています。

 

医学教育の基礎を築いた偉大な内科医 ウィリアム・オスラー先生もこう語っています。

Medicine is a science of uncertainty and an art of probability.

医学は不確実性の科学であり、確率のアートである。

          ウィリアム・オスラー

 


プライマリ・ケアは、不確実性に向き合う機会が特に多い医療現場です。

  • 初めて出会う患者さんの相談がゼロから始まる
  • まだ症状もわずかで手がかりの少ない状況で判断を求められる
  • いくつもの問題が重なって定石通りの治療が通用しない
  • 根本的な解決ができない病状の患者さんに向き合ってゆく などなど

 

そんなプライマリ・ケアに関わるには、まず、

「不確実性と仲良し」になれると良いと思います。

ケアの不確実性と、こんな風におつきあいを始めてはどうでしょう。

ケアの不確実性




動画Ver.はこちら

 


そもそも健康に関わらず、人生も世の中も予測がつかないことばかり。

VUCA*2の時代、多少の不確実性を誰しも上手に受け入れ向き合っていけるといいですね。

 


●より詳しく学びたい方へ

次のキーワードを参考に学んでみましょう

  • 医療の不確実性をもたらす患者・医師の要因
  • 不確実性存在下での意思決定・行動フレームワーク
  • 問題が複雑であることのサイン
  • 複雑な患者の4つのタイプ
  • 臨床問題の複雑性の分類(クネビン・フレームワーク
  • 複雑性を記述するためのツール(PCAM;Patient Centered Assessment  Method)
  • 複雑困難事例と向き合うための5つの視点

 

また、答えが出ない・宙ぶらりんな状態に耐える力は

ネガティブ・ケイパビリティ

とも呼ばれています。

このネガティブ・ケイパビリティについて知り、何でもかんでもシロクロつけようとしない姿勢を学ぶことは、ケアの不確実性に向き合う医療者・患者どちらにも必要だと感じています。

こちらもぜひ学んでみてください。

 


では、またプラっとお立ち寄り下さい。

*1:

 

 

*2:Volatility(変動性)・Uncertainty(不確実性)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとった造語。未来予測が難しくなる状況で変化の激しい現代を表して用いられている。